約款とは、多くの同一内容の契約を迅速に処理するためその契約内容をあらかじめ定型的に作成する契約条項を指します。　

不特定多数の人が利用する保険、運送、銀行取引、レンタカー、旅行会社、高速道路通行に使用されるハイカ利用なども約款によって契約の条項が定められています。

ただ約款は契約の当事者のうち企業側において一方的に作成されるものが多く、契約のもう一方の当事者である利用者側は約款に定められた契約内容について個別に交渉することはできず、約款を定めている契約に関しては約款の条項に同意しているものとみなされます。

利用者全てが企業側の作成した約款の全文全条を読んで理解の上契約しているとは思えず、契約の印鑑を押印した後で「約款です読んでおいて下さいね」と渡されることのほうが一般的といえるでしょう。

約款によらない契約の場合は契約書の隅から隅まで読んで印鑑を押印するのが普通ですが、約款による契約では契約の内容が確認されることなく(契約前に約款が読めない)契約が成立しています。契約の内容を確認していないため利用者が予期せぬ不利益を被ることも多いため約款の内容については法による規制や行政庁の監督などが行われています。

また、約款を十分理解している人が多くない理由として、平易でない表現の文章が小さな文字で並べられ、しかも小さな本文の文字より一層小さな文字で注釈がつけられていたりするため、読むことを躊躇させるのが目的なのかと穿った見方をしたくなるほど読みにくく作られており、最初から契約者にその内容を理解させるために作成されたものではないという印象すら受けます。