厚生年金基金とは、厚生労働大臣の認可を受けて設立され老齢厚生年金の一部(物価・賃金スライドを除く)を代行し独自の上乗せ給付を行う特別の法人を指します。　

基金を設立している事業所は政府に対して代行給付に見合う厚生年金保険の保険料納付を免除され、代行相当分を含めた基金が支給する給付に必要な原則として事業主と加入員が折半して負担する掛金を基金に納付します。

基金は掛金を将来に亘って約束した給付ができるよう年金資産として積み立て、給付形態は国の老齢厚生年金を代行する基本部分と企業独自の給付を上乗せする加算部分とで設計された「加算型」、国の老齢厚生年金と同じ給付設計を用い加算型のように加算部分はありませんが、支給率を高くすることで国よりも手厚い給付ができるように設計された「代行型」、加算型の一種で国の老齢厚生年金を代行する代行部分と代行部分に上乗せするプラスアルファ部分が一体となった給付設計がされた「融合型」などの厚生年金基金があります。

1966(昭和41)年に発足した当初は加算型、代行型、融合型の3種か企業の形態に合わせて並立していましたが、融合型の基金は2005(平成17)年の時点で0になっており、また1975(昭和50)年8月以降に新しく設立された基金は全て加算型で、代行型の既存基金から加算型に移行する傾向が顕著となっています。加えて近年の経済情勢が基金の運用環境を悪化させ基金の解散や終身年金を原則としている代行給付の制約に大きな負担感を持つ基金では代行返上し確定給付企業年金制度などに移行するものが増え、基金数及び加入員数は減少傾向にあります。

ちなみに厚生年金基金の基金数は2001(平成13)年度・1737、2002(平成14)年度・1656、2003(平成15)年度・1357、2004(平成16)年度・838、2005(平成17)年度・687、2006(平成18)年度・658、2007(平成19)年度・626、2009(平成21)年7月1日現在では612基金になっています。